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「ごめん。……ありがと」
「当たり前の事を言っただけですわ。お礼などいりません」
「ん……」
「それよりも、どうして泣いておりましたの。まさか、あの子達に何か言われたから泣いていたんですの? なさけないですわね」
「うるせえ!」
「あなた、妹がいるんでしょう? だったら、お兄ちゃんは泣いてばかりではいけませんわ」
「…………」
痛い言葉に、だんまりを決め込むしかない。
なおもそいつは言葉を続ける。
「人ならば、強くありなさい。誰かを守る為に強くなりなさい。
私は、先生からそう学びましたわ」
「……守るため……か。オレには家族ぐらいしかいねぇよ」
その時のオレには“友人”なんてものは居なくて。だから守る対象は家族しかいないんだと思ってた。
だけど、その考えを壊してくれたのは、そいつの次の一言だった。
「私にも、守らせてくださいませ」
「は?」
子供の思考は突拍子もない。だから、当時のオレにはすぐにその思考を理解できるわけもない。
「私にも、あなたと妹さんを守らせてくださいませ!」
本当に、意味が分からなかった。
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