+Ghost+

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確かに、親の命を奪って生まれた私は忌み嫌われる存在なのかも知れないが、コイツだけには言われたくない。 「要件は何ですか?」 思わず普通の話し方に戻ってしまったのもコイツのせいだ。 私は上司である支部長を睨みつけながら要件を急かした。 私が不機嫌になったのを理解したのか、支部長は書類に目を通しながら1枚の紙を差し出す。 全く素っ気無い行動にも嫌味に見えて仕方ない。 「今回の事件はこれ以上の犠牲者が出ないようにお前が片を付けて来い。」 「了解しました。」 その程度の事なら書面で伝えればいいのにとも思ったが、これ以上いざこざが発展するのも気が引けるので、紙を奪い取るようにして踵を返した。 「それと、『アレ』が復活するまでにもっと強くなっておけよ。」 後ろからそんな声が聞こえたが、私は気にすることなく扉を開いて軽く振り返る。 「片を付けたらまた来ますね。 兄さん。」 私は有りっ丈の嫌味を込めてそう言ってやった。
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