最初

2/2
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
街は、秋の香りを小脇に抱えていた。 山は少しずつ赤くなり、空は高く透き通っていた。 そんな、見覚えのない景色。 私は、今どこにいるんだろう。 五感は自由を失い、輪郭のボヤけた景色。 言うならば、感覚全てが水に溶けて消え去った。 そんな感じ。 世界が何もかもを忘れてしまったのか? 恐怖に襲われるが、すぐにどうでもよくなった。 どうせ、これは夢だ。 ほら、どこかから声が聞こえる。 私を呼んでいるんだろう。 うるさいな、わかったよ。 今、いくから。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!