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手元で何かが揺れ動く感覚に目を覚ました。
どうやら、眠ってしまったみたいだ。
何かを恐れても、眠気はやってくるらしい。
そして、何事もなかったかのように進んでいく。
僕は、そんな自分に驚きながら現実を疑っていた。
どうして?
今まで微動だにしなかったハルカの手。
確かに、確かに彼女の手を握りしめていたはずだ。
僕の脳が急速に覚醒する。
まさか?もしかして?
顔をゆっくりと上げてみる。
そこには、目に灯りをともしたハルカがいた。
今度こそ、彼女は目を覚ました。
「ハルカ、気がついたんだ」
僕はできるだけ静かに言った。
手は、温かさで一杯だった。
僕の体温だけで。
「あなたは、誰?」
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