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「和成君、弟に欲しいー。」
私が言うと和成君は、一瞬
複雑な表情を浮かべたがすぐに
いつもの表情に戻る。
「蒼と兄弟なんて絶対嫌だし
遠慮しておきます。」
「おい和成、…てめぇ。
…あ、姉ちゃん。
まだ大学行かなくていいの?」
時計をちらっ、と見る。
「うわぁぁあ!遅刻だ!
えーと、じゃあ和成君、ゆっくり
してってね!」
「うるせー女だな…。」
蒼の暴言を背に、私は慌てて
玄関を飛び出したいた。
「おー今日もいい天気。」
季節は桜も咲き終わった春。
もうすぐ夏がやってくる。
「電車くるまであと3分…。
うわーギリギリだぁ。」
物凄く走って、走って。
なんとか電車にのれた私は
この時ばかりは高校生になり
生意気になった蒼に感謝
するのだった。
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