花嫁な魔王

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………どうしたら、いいのだろうか 被ったフード越し、己を見据える勇者達にこころの中で困惑する。 それぞれがきつく握った剣、あるいは杖の柄。白くなるまで力の入った手。 ぎらぎらと輝く、強い眼差し。無理矢理吊り上げる唇。それは手負いの獣が浮かべる警戒と強がり。 どうしよう だって、『やっと見付けた』のに……… どうして怯える?魔力は消してるし、翼も閉まってるし、魔族の皆だっておとなしくしたし…………………嗚呼、顔、隠しているからかな? うん、多分そのせいだ 思い、決行。視界を遮るフードに手を掛けて一気に払う。 ぱさり。空気を含んだ軽い音と共にあらわになった真正面、見張る深い紺色の瞳に己が瞳を合わせた。 …………これで、恐がらないでくれる…………? 『今度こそ』一緒にいてくれる……………? なかば懇願混じりの眼差しを、わかってくれるかはわからないけれども、せめてあなたたちを害することはしないということだけは、理解して欲しい。 けれど、 ……信じて、くれるのだろうか? 彼らにとって最大の『敵』である自分の言葉を。 不安に怯える。なによりもたいせつな『彼』だからこそ。 思い、否定する。……いけない。弱気になって言い募っても、それは反って不信感を煽ってしまう。 ………大丈夫、ちゃんと、ずっと考えて来たんだから。 あとは、震えそうになる声を、きちんと押し出せばいい。 警戒を解こうとしない『彼ら』に、出来るだけ優しく見えるように唇をゆっくりと綻ばせた。
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