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ー小さなボクの瞳は虚ろで、そして、哀しげだった。
だけど、ナミダは零れはしない。
だって、心は、どうしようもなく壊れて、傷ついて。
ナミダなんて、わすれてしまったから。
[…クルシイヨ。ダレカ、タスケテヨ…]
小さなボクの声がする。
小さなボクは苦しんでいる。得体の知れない痛みに。
怯え、苦しんでいる。
それはまるで、胸の奥にある大切な何かを削り取られるような、得体の知れない痛みだ…
[…モウ、ネムッテシマオウ。ドウセ、スベテオワルノダカラ…]
小さなボクはそう呟き、目を閉じた。
ーその時だった。ジャリッ、という砂を踏む音がしたのは。
[……?]
小さなボクは、ゆっくりと目を開け、顔を上げる。
そこにいたのは
黒い学ランをきた、少年だった…
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