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夜の街を歩く。
あの出来事の後、救急車と警察が直ぐにやってきた。
冷静に対応した鏡教授のお陰で事情は直ぐに把握された。
警察の捜査の結果・・・・・・彼は自殺だった。
その結果、健は祐と一緒に帰る事が出来ている。優も、彼女の琴と共に帰えっていった。
自殺した彼・・・流誠(ナガレマコト)は優の所属する映画部の後輩だった。もともと身体が弱く薬を常備している彼だったが、あの日は同じ薬でも“劇薬”を飲んだ。
『なんで自殺なんてしたのかな』
「自殺の理由なんて興味ない」
本当に興味がなさそうに祐が口を開く。
そんな祐に苦笑していると、健はふと思い出した。
『そう言えば、祐に言われて人を呼びに行った時に青いハンカチを見たけど誰のだったんだろう?』
「これのこと?」
そう言って祐は青いハンカチを見せた。
『そうそう、それそれ。って、何で持ってんだよ!?』
何故かある青いハンカチに、健は叫んでしまった。
「何で?って、拾ったから」
『け、警察には?』
「言ってない。警察は自殺と言ったから」
『いいのかな?』
俺は首を傾げながら、祐と歩く。
歩いていると祐がポツリと呟いた。
「俺は、この持ち主に興味があるんだ」
『まるで持ち主が分かっているみたいだな、その言い方?』
健の言葉に祐は意味深に微笑んだ。
そして彼は言う。
「健ちゃんは知りたい?真相を」
感情の読めない黒く漆黒の瞳で、健を見ながら祐は聞いた。
思わず飲み込んだ自分の唾が音をたてる。
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