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彼女の言葉に祐は語り始める。
「知りたい事は、あの日一緒に居た彼女の件です。鏡教授と彼女は健が会った時、あの場所に一緒に来たのか?それとも、何処かで会ったのか?」
祐に言われて鏡教授は少し考えた。
そして、行き着いた答えに鏡教授は溜め息を吐き出す。
「何処までやる気?」
「彼の興味が無くなるまで。ですかね?」
解り合う二人に、健はついていけない。
「まぁ、いいわ」
それだけ言うと鏡教授は答える。
「彼女とは部屋に行く途中、階段を上がっていたら、階段を降りようとするところで会ったわ」
「それで・・・・・・」
「慌てた感じがしたから声を掛けたら、彼(健)が飛び出して来た」
彼女の答えに祐は溜め息を零す。
「これで良いかしら?」
「はい」
俺は本当に訳が分からない。これでは、彼女が何かしたのだと言っているようだった。
『祐、何言ってる?』
健の言葉に、祐はチラリと視線を向ける。だが、すぐに目を逸らすと頭を掻いた。
そんな祐の態度に鏡教授は話題の最後に、ある情報を口にする。
「安心していいと思うわ。彼の自殺は間違いない筈だから」
『えっ!?』
「知り合いの刑事に聞いたんだけど。彼のカバンの中から遺書が見つかったみたわ。封筒に入った物と沢山の書き損じと」
鏡教授の言葉に俺は胸を下ろしたけれど、祐は納得出来ないように口に手を当て考える。
「この話題はもういいかしら?」
「あっ、はい」
そう答えると鏡教授は、もう1つの話題へと話を変えた。
けれど彼女が言ったのは、たった一言。
「アナタ達、単位無し。それだけよ」
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