夜、屋上、対決1

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  夜、大学の屋上。     吐く息が真っ白に染まるなか、僕と彼は立つ。僕は彼を、彼は僕を真っ直ぐに見つめた。     「ねえ・・・」   『なに?』   「そんなに見つめられたら気持ち悪い」     彼の言葉に僕はガックリと肩を落とす。     残っている人も少ない夜の、しかも大学の屋上には満月から舞い降りる光しかなく、お互いの表情なんて見えないのにワザとらしく彼は言う。     大げさに肩を落としたから彼に僕の気持ちは伝わっただろう。     「悪かった・・・。愛の告白ならOKだ」     うん、素晴らしいくらいに伝わっていない。満月、ちゃんと照らして。     『違うから、君には愛なんてないから。ちなみに友情は今ので消えたから』   「で、要件は?」   彼は絶妙なタイミングでそう聞いてきた。     イラッ、という文字が頭を通り過ぎる。けれど、堪えて話しを進めるため僕は口を開いた。     『犯人は君だったんだね・・・』     ゆっくりと、そしてはっきりと告げる。    「何の?」     なのに、なのに彼は首を傾げ聞き返してきた。あまりの彼の態度に僕は   『な、何って』   ちょっと慌てた。     ここまで平然とされると僕の勘違いかと思ってしまいそうになる。     『僕の周りで起きた事件だよ』     叫び声に近い声を出しながら彼に言い放つ。これは間違いないはずだから。     「あの、全部犯人見つかってるよ」   『・・・・・』   「なにで呼び出されたかと思ったら、悲しいよ」   泣き真似までする彼に、僕は本気で睨みつけた。     「おぉ、怖い」     はぐらかすように笑う彼に僕は睨みつけたまま言った。     『そうやって無害なフリしてみんなを騙していたんだね』   「・・・・・」     彼の顔から表情が消える。それが彼の本当の姿なのかもしれない。     ココからが勝負、のはずなのに彼はまた笑顔に戻った。     『な、なに』   「可笑しい事を言うからさ。今騙してる奴がそんなこと言うからさ」   『なっ!?』   驚きに言葉が出てこない。     そんな僕に彼は溜め息まじり続けた。     「女性が僕って言うな。最初の告白OKだって言った俺がホモみたいだろ」   『・・・別に良いじゃん。私が僕って言ったって』   「普段使ってないだろ、何の影響だよ。わざわざ呼び出してまで」   『てへへ』     笑う僕=私に、彼はかるくは頭を抱えた。    
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