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「サボっても仕方ねーだろ? あの木宮があんな調子じゃ、気にもなるって」
オレの言葉に、ユーリは呆れ顔でため息をつく。
「相変わらず、人の世話焼くのが好きね」
「そーゆー言い方はねーだろ。少なくとも、好きじゃない」
「自分から首突っ込んでるんでしょ? なら事実じゃない」
言い合いながら、玄関を後にした。
「それで? 解決しそうなの?」
「…かなりムズいな」
木宮に相手してもらうには、ヤツのことを知る必要がある。が、知る術が無いのだから、どうしようもない。
「最低、クラスマッチには間に合わせたいけど…無理かも…」
情報源になってくれそうな慎士は、通話もメールも応答なしだし…。
というか、「無理」という単語を使ったのは、今日が初めてだ。早くも諦め気味なのか、オレ?
自身の心の弱さに、心中で嘆いていると、ユーリが顔を前に向けたままで言った。
「いいこと教えてさしあげようか?」
「言葉遣いおかしくね?」
オレのツッコミは無視し、
「できるって思ってるヤツは、努力してれば、その内できる。何事もね」
至って真剣に言う。
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