エピローグ.画策する暗闇

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「前にボクも拾ったなぁ。デルタはどこで拾ったの?」 「ゴミ箱」 「え……漁ったの?」 「違う。そばに落ちていた」 一連の会話を聞きながら、大小の記事を速読していくシグマは、 「……?」 ある一つのコラムで、目と手を止めた。 クラスマッチ二回戦の結果の他に、目立ったクラス二、三組について、筆者が考察を書いている。 その中に、以前ラムダが拾ってきた新聞に書かれていたものと、よく似た記述があった。 「学園で唯一の人間、か……」 呟くシグマに、ラムダが思い出したように、 「そーいや、そいつ不思議なヤツですよねぇ。人間が名門の魔術学校に入って、しかも普通に過ごしてるんですから」 「……」 しばらく続いた沈黙を吹き払うように、シグマはため息をついてから話し始める。 「あそこの理事長は、相当な変わり者と聞いている。人間の一人や二人、入学させても不思議ではないが……」 言葉を切った直後、 「……!」 シグマは双眸を見開き、やや興奮気味に質問した。 「ファイ。学園関係者のリストは?」 「え……そこの、二番目の引き出しだけど?」 少々驚きながらも、近くの机を指すファイ。
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