2.手を出すな

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「わぁーってるっつの。つか、いちいち上からもの言うのやめろ」 言いながら場を譲る。 「…ふん」 鼻を鳴らした宍戸は、自分の下駄箱を開け、中から上履きを取り出す。 その様子を見たオレは、 (………?) 違和感を抱かされた。 宍戸と話すのは久しぶりだが、こんなにすんなり退くヤツだったっけ? こいつは、とにかくねちっこく、人の嫌みを言い続ける野郎だったはずでは? 「…僕の顔に、何か付いてるのかい?」 この言葉で、オレは宍戸の顔を凝視していたことに気づいた。 「あ、いや…別に?」 「前から思ってたことだが…気持ち悪いね、君」 ムカつくわぁ~、こいつ! 火山が腹の中で噴火したような感覚に、思わず拳を握りしめる。 「…神崎」 「何だよ?」 オレの返事は、刺がいっぱい生えてるみたいに冷たい。当然でしょ? 「右京先生との特訓は、はかどってるのかい?」 「………へ?」 思わぬ発言は、今までの怒りを、驚きに変換した。 確かにオレは、クラスマッチ1回戦が終わった翌日から、右京氏の特訓(もとい拷問)を受けてきた。 宍戸のヤツ…何でそのことを知ってんだ?
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