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「わぁーってるっつの。つか、いちいち上からもの言うのやめろ」
言いながら場を譲る。
「…ふん」
鼻を鳴らした宍戸は、自分の下駄箱を開け、中から上履きを取り出す。
その様子を見たオレは、
(………?)
違和感を抱かされた。
宍戸と話すのは久しぶりだが、こんなにすんなり退くヤツだったっけ?
こいつは、とにかくねちっこく、人の嫌みを言い続ける野郎だったはずでは?
「…僕の顔に、何か付いてるのかい?」
この言葉で、オレは宍戸の顔を凝視していたことに気づいた。
「あ、いや…別に?」
「前から思ってたことだが…気持ち悪いね、君」
ムカつくわぁ~、こいつ!
火山が腹の中で噴火したような感覚に、思わず拳を握りしめる。
「…神崎」
「何だよ?」
オレの返事は、刺がいっぱい生えてるみたいに冷たい。当然でしょ?
「右京先生との特訓は、はかどってるのかい?」
「………へ?」
思わぬ発言は、今までの怒りを、驚きに変換した。
確かにオレは、クラスマッチ1回戦が終わった翌日から、右京氏の特訓(もとい拷問)を受けてきた。
宍戸のヤツ…何でそのことを知ってんだ?
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