2.手を出すな

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返事ではなく、宍戸が特訓の事実を知っている理由を考えるオレに、 「…聞いているんだ。いい加減答えないか」 不機嫌な顔で、答えを促す宍戸。 どう答えるべきか、心中で慌てふためいたのも数秒。 「…お前には関係ねーだろ」 「…そうか」 突き放すようなオレのセリフに、宍戸もドライアイスのような視線を向けてくる。 しばらく続いた対峙は、 「どきなさい」 冷たい命令で終わった。当然の流れで、オレと宍戸の視線は、そっちに向く。 豪奢な金髪に、スラリと長い足。鮮やかな緑の瞳は、鋭く、機嫌の悪そうな視線を放っている。 不快感を隠そうともしない顔は、100人中99人は振り向くであろう、完璧な美貌だ。 非の打ち所が無い…外見だけ見れば。 「聞こえなかった? さっさとどけって言ってんのよ。邪魔くさいわね。消えてくれない?」 矢継ぎ早に宍戸を罵倒するこいつ…。誰なのかは、もう分かっていただけただろう。 ユーリだ。 「言われなくても、邪魔者は消えるよ」 素っ気なく言い残し、宍戸は玄関を後にした。 …一瞬ではあるが、ヤツに同情しちまったぜ…。
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