2.手を出すな

7/42
前へ
/536ページ
次へ
「サボっても仕方ねーだろ? あの木宮があんな調子じゃ、気にもなるって」 オレの言葉に、ユーリは呆れ顔でため息をつく。 「相変わらず、人の世話焼くのが好きね」 「そーゆー言い方はねーだろ。少なくとも、好きじゃない」 「自分から首突っ込んでるんでしょ? なら事実じゃない」 言い合いながら、玄関を後にした。 「それで? 解決しそうなの?」 「…かなりムズいな」 木宮に相手してもらうには、ヤツのことを知る必要がある。が、知る術が無いのだから、どうしようもない。 「最低、クラスマッチには間に合わせたいけど…無理かも…」 情報源になってくれそうな慎士は、通話もメールも応答なしだし…。 というか、「無理」という単語を使ったのは、今日が初めてだ。早くも諦め気味なのか、オレ? 自身の心の弱さに、心中で嘆いていると、ユーリが顔を前に向けたままで言った。 「いいこと教えてさしあげようか?」 「言葉遣いおかしくね?」 オレのツッコミは無視し、 「できるって思ってるヤツは、努力してれば、その内できる。何事もね」 至って真剣に言う。
/536ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89159人が本棚に入れています
本棚に追加