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「逆に…できないって思い込んでるヤツは、どうやっても、いつまで経っても、何もできないわ」
「………」
黙り込むオレは、ユーリの横顔を見つめる。
と、急にその顔がこっちを向いた。きれいな緑の瞳と、目が合う。
「あんたが木宮をどうしたいかは、知らないし、どうでもいいけどさ…」
「………」
「やるっていうなら、簡単に"無理"とか言わない方がいいわよ」
ユーリの言葉には、言い様のない重みがあった。
「弱気も、半端な気構えも、相手をバカにするだけで終わるわ」
「………」
「よく知りもしない相手と話すんだから、それくらいは覚えといて」
言いたいことは言ったのか、ユーリは歩き出す。オレたちはいつの間にか、廊下で立ち止まっていた。
「………」
…励ましってヤツ?
「…ユーリ」
「何よ」
オレが呼びかけるのを待っていたかのように、すぐに反応するユーリ。
「何つーか…サンキュ」
後頭部を掻いて言うと、振り向いたユーリは、
「…何照れてんのよ、バカ」
わずかに赤くなって、思わぬことを言った。
「照れてるって…オレが?」
どこを見てそう思ったんだ?
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