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【Ⅴ】
「今日の連中、何人殺った?」
一通り身体を温め血の臭いやびしょ濡れになった服を着替えて、いつも通りに足を運んだ食堂。
大抵馴染みのメンバーでの食事に、これもお決まりの台詞。
「オレ11くれぇ」
「俺27」
「お前銃じゃねーかよ」
「ならお前も銃にすりゃ良いじゃねぇか」
そうすりゃもっと殺れるぜ、と哂う向かい側の男。
それに便乗して、違いねぇと周りも哂う。
「エヴァ、…は数えてねぇよな」
『面倒臭い』
「相変わらずだなーお前」
ケラケラと哂いながら、黙々と飯を口に運ぶ俺の背中を叩く。
あぁ、耳障りだ。
その言葉も。
その声も。
その哂いも。
相変わらず毎回この会話に参加しない俺は放っておいて(普段も無口ではあるが)、周りは先程の会話から、今度は敵軍の強さについて話し始める。
あの隊は強かっただとか。
あの隊は余裕だとか。
次は、どうやって仕留めてやろうかとか。
(殺しは快楽)
吐き気がした。
けれど、軍に入っている時点でそれは有り得る思考なのかもしれない(必然、ではないが)。
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