2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
感染する様に広まる。
初めは違っても、何人も殺す内に感覚が麻痺してくる。
殺らなければ殺られる。
手に持った武器で、その人間の心臓を抉れ。
軍内の訓練でも、ただ只管に相手を一瞬で仕留める方法を叩き込まれる。
(血も叫びも慣れた)
それは俺が狂っていく過程で。
嘆くべきなのか喜ぶべきなのか。
俺には判らない。
だがきっと、こうやって哂う連中は、己が狂っていっている現状すら判らないのだろう。
『ご馳走様』
「お、なんだよエヴァ。もう戻るのか?」
『…寝る』
「つれねぇなぁ。しかも相変わらずその変な言葉も言うんだな」
「仕方ねーよ、それがエヴァなんだからよ」
俺は手を振る連中を無視して、食堂を後にした。
胸糞悪い。
殺した人数を平然と数える連中も。
次の殺しに焦がれる連中も。
それを、大声で否定出来ない俺自身も。
<命って何だ>
<生きるって何だ>
<俺は、>
<ただ狂うしかないのか>
†
最初のコメントを投稿しよう!