2人が本棚に入れています
本棚に追加
【Ⅶ】
―ドォォン…
(落ちた…、近いな)
暗闇を消し去る一瞬の光の後、数秒も空けずに鳴るまるで大砲の発射音。
音の前の光と雨音さえなければ、職業柄、どこかで戦闘が始まったのでは無いかと思ってしまう。
聞き慣れた音。
けれど、決して好きにはなれない。
倫理も道徳も何もなく、ただ意志もなく壊し続ける兵器。
一体、兵器に罪があるのか、それを使う人間に罪があるのか、将又兵器を造った人間に罪があるのか。
けれど、
(罪、とは何だ)
兵器を造りだした事か。
人間を殺した事か。
意志が無い事か。
道徳を無視した事か。
罪悪感が無い事か。
生きている、事か。
罪が何か判らないのに、人間は神に懺悔する。
その奥に隠れた濁った感情を隠し、人間と切っても切り離せない神の前に跪く。
何の罪を持って神に祈る。
それで罪は消えるのか。
それで赦しを得られるのか。
生み出した神に背き。
死にたいと願い。
罪が何であるかすら判らない俺に、懺悔も、赦しも、あるのだろうか。
<罪、それを>
<理解しない事が>
<一番の罪>
†
最初のコメントを投稿しよう!