リップクリーム

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がたがた…ぶろろろ――。 不規則に揺れながら走るバス。 殆んど乗客のいない、この時間帯。 ゆらゆらと二人、肩を並べてバスに揺られている。 「高瀬さーん」 「……ん…」 「つまんないです、高瀬さん」 相当疲れていたのだろう。 バスに乗って数分後には眠ってしまった彼女。 何を言っても反応が全て小声だ。 がたがた…ーーがったん! 「わっ……と、?」 突然バスが大きく揺れた。 地盤の悪い道だ、と今更ながら思う。 崩しかけた体を元に戻す。 すると片側から、くん、と軽い重み。 目をやれば、鼻の先に高瀬さんの寝顔。
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