リップクリーム

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「ち、ちかっ!?た、たたた高瀬さんっ?」 あまりの至近距離に体が後ろに反る。 それについてくるように、彼女も傾く。 まだ寝ているのか、これだけ動いているのに。 通路側に落ちそうな私。 仕方なく彼女の頭を肩に乗せたまま座り直す。 ホントに乗客が少なくてよかった、と思った。 「……寝息、が、首に…」 すぅ、と微かに聞こえる穏やかな寝息。 少し熱を帯びた温かい柔らかい寝息。 それが首筋をふわりと掠めていく。 ふと重たい肩に目をやれば綺麗な寝顔。 心なしか頬が緩んでいるように見えるのは、私が隣にいるからだ、と自惚れてみた。 「高瀬さんが、悪いんですからね?」 聞こえないように。 誰にも聞こえないように小声で呟く。 向かう先は、彼女の唇。 ―――――――――――― ―――――――――― ―――――――― ―――――― ―――― ――
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