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『ね、イクミン』
全ては高瀬さんの
この一言から始まった…。
「イクミーン!」
「だ、誰か助けてぇぇえええ!!」
ばたばたと楽屋を走り回る二人。
目をキラリと光らせる、追う側の高瀬さん。
目をウルウルと潤ませる、追われる側の私。佐倉郁未。
ここは劇団clownの楽屋なんだけど、珍しくまだ私たち以外来てなくて。
どんなに助けを求めても、願うようにならない。
「何で逃げるのー?」
「高瀬さんの目、怖いんですよ!!」
「なんでー?」
「ギラギラしてる!ギラギラ!」
テーブルを挟んで向かい合う。
私を見る高瀬さんの目は、例えるなら野獣だ。
逃げる獲物を狙うハンターの目。
そんな目で追われたら
逃げたくなる。
少なくとも私は。
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