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「まーな!」
楽屋に入ってくるなり私に飛び付いてきたこの人は、
[山本帆乃香]。
ぎゅっとホールドされ動けない。
周りに視線で助けを求めてみるけど、誰一人として目を合わせてくれなかった。
「……ほのちゃん、暑苦しい」
「真奈の態度が冷たいから、ちょーどいいぜぃ」
「意味わかんないって」
へっへ、と頭の後ろから笑い声。
気付けば、さっきまで耳障りだったのに今は不覚にもちょっとだけ頬が緩んだ。
「真奈かわいー」
「…うっさい」
「まなまなーっ」
「うるさいってーの!」
だらしなくヘラヘラと笑うほのちゃんが、馬鹿みたいに愛しく思えちゃって。
そんなことを思っている自分に気づいた瞬間、かぁっと顔が熱くなったもんだから、完全にほのちゃんの思う壺で。
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