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「あら、切れたみたいですね。ちょっと待って下さい、今から注射します。すぐ楽になりますよ」
女性の声が聞こえた。
数秒後全身の痛みが吹き飛び、視線が定まった。
部屋は薄暗く、遠くで誰かの叫び声が聞こえる。
「武田さん、眠ってください。ここは安全ですよ。あと一週間もすれば、話が出来るようになります。頑張りましょう」
白衣の女性が俺にガッツポーズを見せた。
天井をずっと眺めていた、というか天井を眺めるしかなかった。
栄養は点滴、糞尿はパイプやオムツで取られ、一日三時間のラジオの選局は頷く回数で知らせる。
一回ならNHK、二回ならFM802、他の局は電波が届かない。
苦痛の後の鎮静剤が楽しみ。
それだけ。
ぜんぜん駄目じゃん、俺。
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