投獄

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「場所は、おそらくはギランの郊外だろう。さっき、窓から確認したら、処刑場が西の方角に見えた 。タノール境界の要塞内にある、塔の一室を牢として使っている・・・そんな所だろう」 それまで黙っていたもう一人が、初めて口を開いた。 確か、アスタユルとか言っただろうか。 僕の視線に気がついたのか、彼は一瞬だけこちらを見たが、興味なさそうにすぐに視線をそらした。 一瞬、エルフかと思った。 短く切り揃えた髪は、それは見事な銀髪だったから。 窓から差し込む陽の光を受けて、虹色の光沢を見せるそれは、フェアリーの谷で見た、天然のクリスタルを思わせる。 怜悧な眼差しを湛える瞳は、ナルセルの湖面と同じアイスブルー。 すっきりとした顔立ちに、細い眼鏡をかけているのが、ことさら彼を知的に見せていた。 白いローブを着ている所を見ると、やはり彼も同業者なのだろう。 「まず、落ち着いて下さい。そうだわ、まだあなたのお名前を伺っていませんよね」 場を取り成すように、セアラが間に割って入る。 そういえば、そうだ。 「失礼しました、僕は・・・フロイといいます」 セアラは微笑みで、アスタユルは一瞥で応えてくれた。 僕は何となく所在がなくなって、少しクセのある赤髪を掻きむしってみたりする。
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