70人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの・・・あなた達も捕まって、と言ってましたが・・・一体、何が起きているんでしょう」
「フロイさんは、キャット団というのをご存知ですか?」
「キャット団・・・?」
聞き慣れない言葉に首を捻る。
それにしてもセンスのない名前だ。
セアラは頷いて
「最近、ギラン地方で問題になっている集団のことです。
徒党を組んで物品を奪って行ったり、民家にイタズラを仕掛けて行ったり。
自分から人を傷つけることはないらしいのですが、相手が抵抗すれば戦闘に発展することもあるそうです。
怪我を負わされた者も、少なからずいるようです」
「はぁ。それで、そのキャット団とやらが何か?」
「問題なのは、その集団が全員、召喚獣だということなのです。しかも、私達のようなヒューマンの召喚師が契約している、魔法界の精霊猫達」
「そんな!」
信じられなかった。
脳裏に、マオの白い姿が浮かぶ。
呼び出された猫達は、無垢で純粋で、人を疑うことを知らない。
そんな彼らが、そんなことをしているなんてあり得ない。
いや、だからこそ・・・どこかで、彼らを操っている者がいる・・・?
「我々は容疑者だ」
アスタユルが、相変わらず視線を外したままで話を引き継いだ。
「まさか、そんな・・・召喚師というだけで、疑われているんですか? 自分の召喚獣を悪事に利用して いるとでも?」
「彼らはそう考えている」
「馬鹿馬鹿しい!濡れ衣もいい所だ、よく調べもしないで!」
「果たして、本当に濡れ衣だと証明できるのかね?」
思い出したくもない、いまいましい声が、僕達の会話に割って入った。
肩越しに振り返り、扉を睨み付ける。
正確には、扉の上部に設えてある、監視用の小さな小窓を。
そこから覗く剣呑な瞳は、紛れもなくあの口髭鎧の男だった。
最初のコメントを投稿しよう!