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「いっ・・・・・・!!」
「うにゃにゃにゃ、うなあ、なあっ!」
「いたたたた、いた、痛いって!こらやめろ、何だよ!」
なんだか、すごく文句を言われてるようだ。
うなうな鳴きながら、丸い手を拳に握ってぐるぐる振り回す。
迎えに来るのが遅いとか、お腹すいてるからクリスタル寄越せとか。
ああ、もう、何ですか、僕は君の下僕ですか、そうですか。
少しは感動的な再会を期待してたのに、こっちだってすごく心配してたのに。
「ううううなああああああん」
ちょっぴり傷心モードに入っていると、ふと、攻撃の手が止まる。
小さな子供のそれのように、天を見上げて号泣するマオ。
寂しかった、不安だった、もう二度と会えないかと思った。
そんな意味の思念が伝わってくる。
「わかった、わかったよ。ごめん」
抱き寄せて頭を撫でてやると、今度はマオの方から抱き付いてきた。
ごろごろと喉を鳴らす振動が、心地良く伝わってくる。
ふわふわの長毛に包まれた体を抱き締めて、あやすように背中を叩いてやった。
「もう大丈夫だから。一緒に帰ろうな」
そう言って、マオを抱え上げようとした時。
―――ダメ。
ふいに、頭の中で何かの声を聞いたような気がした。
腕の中のマオの体が、ぴくりと反応する。
―――ダメ、カエサナイ。ダレモ、ココカラ、ダサナイ。
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