地下で蠢くもの

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「アルト、どうしたの?」 「ブランシュ?」 反応していたのは、他の猫達も同様だった。 主人から体を離して、警戒するような視線を部屋の奥へ向ける。 ―――イヤ、イヤ、イヤ。 モウ、ヒトリボッチハ、イヤ。 ―――イタイ、クルシイ、サミシイ、カナシイ、キライ、キライ、キライ。 ―――ワタシダケ、ドウシテ、アナタタチダケ、ドウシテ。 声は次第に大きく、強く、膨れ上がってきた。 その強烈な感情に呑まれそうになる。 これは何だ、誰の感情だ。 ウウウ・・・と、腕の中のマオが唸り声を上げる。 体が膨らんでいるのは、緊張と警戒に毛が逆立っているためだろう。 「何かが・・部屋の奥に」 頭がクラクラして、そう言うのがやっとだった。 自分でも驚くほど、声がしわがれている。 立っていられなくなって、子馬のように地面にくず折れた。 「おい、どうした」 「フロイさん!?」 どうした、と問われても答えようがない。 自分でもわからない。 まるで、何かに力を吸い取られているかのようだ。 この感覚は、魔法を使い過ぎた時の疲労感に似ている気がする。 そして今わかることは、この体調の異常は僕だけに現れているということ。 それから多分、二人にはこの声が聞こえていないのだということだ。
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