晴天の霹靂

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僕の沈黙を別の意味に取ったのか、男は意地の悪い笑みを浮かべて、言葉を続ける。 「少々、調べさせてもらったよ。召喚師の審査は、先達が操る召喚獣と己の召喚獣、1対1の決闘という形で行うのだったな。 1体を使い続けるよりも、2体を使い分けた方が有利なのは言わずもがな 。 それを、キャット1体で戦い抜いた理由を聞きたい。 よもや、つまらぬポリシーを貫き通した、と いうわけではあるまい?」 「それは・・・僕は、ミューとは契約していないから・・・」 「ほう?それはなぜかね?召喚師を志す者なら、誰でもキャットとミュー、2体の召喚獣と契約するものなのではないのかね?」 ミューと契約しないんじゃない、できないんだから仕方ないじゃないか。 唇を噛み締めて、悔しさを呑み込む。 男の言葉は間違ってはいない。召喚師は、複数の召喚獣と契約し、状況に合わせて召喚する相手を使い分けながら戦う。 駆け出しの召喚師でさえ、パートナーを2体持つものなのに、僕にはキャット族のマオしか、召喚獣がいなかった。 どんなに深く精神を潜り込ませても、どんなに広く心の声で呼びかけてみても、魔法界から応えてくれるミュー族が見つからなかったのだ。 それが、全ての審査に合格しながらも、ウォーロックの資格を拝命しに行けない理由だった。 ミューを持たないまま、ウォーロックの名を戴くことに抵抗があったから。
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