晴天の霹靂

4/7
前へ
/45ページ
次へ
「・・・僕はキャットを使って、きちんと審査に合格してみせました。それに、僕がミューを使わないことが、今回の用件に何の関係があるというんですか」 「いやなに、人前でミューを使えない事情でもあるのかと思ってね。たとえば、公にできないような犯罪に、召喚獣を使っているとか・・・」 「あなたは僕を侮辱しに来たのですか!?」 「いや、もう結構。この先の事情聴取は、向こうで行おう」 「お断りします!」 思わずカッとなって声を荒げる。 この不躾な態度といい、こちらの言い分を聞かない不遜さといい、挙句の果てに言いがかりか。 全てが気に入らなかった。 男は小さく鼻を鳴らすと、背後で控える女魔術師に目配せする。 なるほど、腕づくで、というわけか。 光栄すぎて涙が出てくる。 「拒否権はない、と言わなかったかね?」 「断ると言ったのが聞こえませんでしたか?」 「貴様に選択させるつもりはない」 「その言葉、そっくり返してやるよ」 互いの語彙が乱暴になるのも、仕方ないことだろう。 男が剣を引き抜く、金属のこすれる音。 女の唇が紡ぐ、呪文のささやき声。 僕の手の中に収束する、魔力の輝き。 それらは全て同時に、我があばら家の空気を震撼させた――。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加