萌ゆる季節に始まりを

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「この辺のはずなんだけどなー」 隆二は紙切れ一枚を片手にリュックを背負い、辺りを見回していた。 「番地まで書かれても分っかんないよ……」 ぼやきつつも目を休めない。 「…………あれだな」 目に留まったのは丘の上にある大きな屋敷。 隆二はそれに向かって歩き出した。 今は春期休暇の半ば。 隆二は休み前に言われた通り、カナンの屋敷に泊まりに行く事にした。 電車を乗り継いで2時間半。 隆二はイギリスに着き、またバスを乗り継いでカナンの家があるという街に来た。 それにしても…………何か国境越えるのがあんなにあっさりとは。 県境を越える感じだな。 「何かカルチャーショックだ」 「へぇー何でそんなショック受けたのよ?」 「それがねー……‥‥」 隆二は疲れた表情で隣を向く。 そこには、 「どわっ!?シャノン!?」 「会っていきなりどわっ!とは失礼ね。もっと気の利いた挨拶はないの?」 金髪に荷物の入った紙袋を持った少女。 それは隆二の友人であり、学園でいつも行動を共にしている一人、シャノンだった。
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