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「そんなことない!!
その人のこと 君が本当に心から好きだった証拠じゃないか。いや、今でも好きなんでしょ?
その彼が羨ましいよ。そんな風に想われているなんて…。」
僕は とっさに掴んでいた手を 肩から離して、彼女に背を向けた。
彼女の瞳は涙でいっぱいになっていた。
きっとまた、彼のことを思い出したんだろう…。
その時、また ざわぁ~っと海風が砂浜を吹き抜けた。
僕は思わず、また君に寄り添った。
「もう帰ろう。風邪を引くよ。」
彼女はまだ、黙ったままだ。
どうしようかと僕が考えていると、君は小さな声でこう言った。
「その人… 海が大好きな人だったんです。
‥‥‥ だから今日 海が見たいって言ったんです。」
彼女の頬には、一筋の涙がつたっていた。
一体 どうしてあげたらいいのか、僕は分からなくなった…。
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