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    「あの……。」   君が口を開いた。   「うん。どうしたの?」   「今日は無理言って遅くまで付き合ってもらってすみませんでした。今日、海を見に来れて良かったです。 ありがとうございました。」   少し赤い目をした君が、こう言った。   「いや、別にいいよ。いつも 僕の悩みを聞いてくれてるんだし、僕だって相談にのることくらいできるから。……… でも…。」   僕は そこで言葉を止めた。  「はい?」   彼女は不思議そうに 僕の方を見た。    「これから先も、亡くなった人のことだけを思って過ごすの?あまりにも辛すぎる。 見てられない…。」    僕はそう言った後、思わず 『あ、こんなこと言うべきじゃ…。もっと気の利いた言葉を言えたら…。』 と、後悔してしまった。   そして 君の方をちらっと横目で見ると、案の定、君は俯いてしまった………。      
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