愛でるもの

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. 「‥‥あっ、 すみません………」 衛と目があった途端に小さく謝りながら口を閉ざして足早に駆け下りて行く一年生。 すれ違う下級生は皆一様に軽く頭を下げると押し黙って通り過ぎて行った。 誰もが見た目も不良そのもので、不機嫌にガンを飛ばしながら階段を昇ってくる上級生に関わりたくは無かったのだろう。 「まも兄!」 (…ん?) 聞き慣れた声に顔を上げればそこには臣の弟の和臣(カズオミ)が居た。 「何してんの? 授業はじまってんじゃん!」 「あ゛――‥、息抜き?」 まさか自分の教室がわからないとは 言えない。 「ふ~ん。 でもちゃんと授業受けなきゃまた単位が危なくなるよ?」 これだから幼なじみとか言うのは厄介だと衛は思った。 心配してくれるのはわかるが有り難迷惑、お節介この上ない。 「喧しいんだよ、ほっとけ!」 次第に興味シンシンで通行する者の歩調が遅くなりだした。 同級生と親しげに喋る金髪ピアスの上級生は一体何者かと野次馬状態。 「はぁ~、和? テメェは自分の心配でもしとけ。列がお前で詰まってっからセンコーが睨んでんぞ?」 「あっ、やばっ?! じゃっ、まも兄待たね!」 和臣はバタバタと駆け下りて前の奴の背中を追い掛けていった。 (忙しない奴‥‥) .
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