君の声

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. 「……海堂………………死ね。」 渇ききってヒリつく喉から搾り出せたのはたった一言。 「遼、まだそんな憎まれ口を叩く元気があるのか?」 呆れたように海堂が言った。 だらしなく乱れたベットにうつぶせになったまま身動きの取れない俺とは対照的に、仕立ての良いスーツを贅肉の無い長身に颯爽と身につけた男。 身のこなしにも無駄がなくて男の俺から見ても惚れ惚れする。 悔しいから言ってやらないけどな! 経済観念が人より二桁は確実に違ってるようなこいつが俺の恋人。……になるのか? ………やっぱ、無理だな。 「煩いっ! 化け物のお前と違って俺は人間なんだよ。 てか、さっさと会社に行けよ。―――そんで帰って来んな!」 ふかふかの枕に顔を埋めたまま、再び口をついたのは可愛くないセリフ。 何故かこいつと居ると俺の中に隠れていた子供の俺が出て来るんだよなぁ。 .
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