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「体は前より正直になったようだな?
私が帰るまでそこで大人しくしていろ。」
クックッと笑い寝室から出て行く海堂の背を睨みつける事しか出来ないなんて‥‥‥
情けない。
そこで大人しくしていろって事は‥‥
外に出るなって事だよな?
あいつ、全然変わって無いじゃないか?!
俺はサイドテーブルに置かれたペリエの瓶を手に取るとゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。
微量な炭酸の刺激が心地良いな。
瓶を持つ手がブルブルと震えて口の端から零れるけど、構ってられるか!
そして一気に飲み干すとゆっくり体を横たえた。
「何で‥‥‥、あんな奴ん所に帰って来ちゃったんだろな‥‥‥」
以前は束縛が激しく嫉妬深い蛇のような男に魅入られた不幸を呪ってばかりいた。
だけど、ある時気付いた別の感情。
それを確かめるべく海堂の元を離れて今度は自分の意志で戻って来てしまった。
もう二度目の凱旋は無いだろう。
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