憂鬱の理由

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あの日から一ヶ月が経ち大樹の家の仔猫を貰う日になった。 僕は少し憂鬱だ。 言っておくが僕は猫が嫌いなわけじゃない。 むしろ動物は好きだ。 じゃあ何故憂鬱なのか、答えは一つ。 僕『が』動物に好かれない人間だから。 昔からそうなんだ。 近所の犬に近付けば吠えられ、追いかけられ。 空き地の猫に近付けば威嚇され、引っかかれ。 為まいに小学校で飼ってた兎には蹴られたのだ。 それ以外にも色々あるのだが、それでも苦手にならないのは自分で言うのもなんだけど奇跡だろう。 だから、憂鬱。 貰った猫に嫌われた生活なんか嫌だ………。悲しすぎる。 「何ぶつぶつ呟いてんだよ」 「……別に何でもないよ」 「さては会うの緊張してんだな」 的外れな大樹のニヤニヤ顏が正直ムカつく。 「まあまあ、落ち着けって」 笑いながら僕の肩を叩く。 そんな大樹にため息。 そして、まあ仕方ないやと思いなおして 「ああー楽しみだなぁ」 と呟く。 隣で楽しそうな顔をする友人を横目で見つつ、諦めるしかないよなと思う。 「たでいまぁ」 「こんにちは」 「お帰りなさい。こんにちは、久しぶりね」 「お久しぶりです。おばさん」 「ささっ中に入ってゆっくりしてってね」 「お邪魔します」 「おら、、早くしろよなっ」 さっさと靴を脱いでた大樹が急かした。 「こっちだ。こっち」 大樹について行くと一つの扉。 「はい。ここにとびっきり可愛い子猫ちゃん達とまたまた、とっても可愛いお母さんのハナがいます」 満面の笑みでの紹介アリガトーゴザイマス。 お前鏡で自分の顔見てみろよ。 「さて入りますよ」 ガチャ はぁ どうなることやら…
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