第一章 夜の航路
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数年前から父親の帰りが徐々に遅くなり、そのうちに帰らない日が続くようになった。 それでも母親は気丈に振る舞ってはいたが、傍目にも夫婦間に空いた溝は明らかであり、実の息子でなくともこうなることは容易に予想できただろう。 案の定そうなったのだが、まさか移住することなるとは思わなかったわけで、必死の反論も虚しくこうして窓を眺めている現在である。
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