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隣の彼女は僕の方を一瞥した。
そして、申し訳なさそうに頭を下げた。
「いいよ、いいよ」
僕がそう言うと彼女は前を向いた。
その後、彼女はゆっくりと手を挙げた。
何がしたいのか分からない。
「なんや?」
姉は様々な地方の言葉が混入している。
僕はそれ程でもなかったが、姉には引っ越しが言語にかなりの影響を与えたのだ。
「あの、南雲先生、
私も、立ちます」
彼女はゆっくりと、ていねいに喋った。その声はなぜか僕の心に響くのであった。
恐ろしくも癒される声。
姉は僕の方を見た。
良い友達だね、とでも言いたげにニヤニヤ口元を緩ませていた。
その顔はあまりになじみのない笑顔で、この教室内を不安な気持ちに誘いこんだ。
クラスメートの騒ぐ声により、本当にザワザワと聞こえるほどだった。
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