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友達
この学校には、体育の時間に使う更衣室という物があった。
古くさい黒ずんだ石の壁に真新しい銀色のロッカーが壁に沿って数個。
転校から何日か経ち、そこで僕は少し遅れてしまい、別クラスの奴と二人だけになった。
全く知らない奴である。
髪は短く僕とは逆のタイプにみえる。
「おい、流だよな?」
そんな風にいきなり話しかけられ、詰め寄られた。
はっきり言うとこいつは面識があるらしいが、僕は覚えてない。
引っ越しを何回もする中、完璧に覚えている事は無理だった。
「誰?」
正直に答えたのだが、そいつの顔は口を開け、目を見開いていた。
一体誰なのだろうか
本当に見覚えがない。
「はあ!? マジで言ってんの?」
僕は顔を歪めて、とっさに両耳をふさいだ。
その言葉はこだまし、壁が震えているように感じるほどの大声だった。
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