友達

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「霧島 悠真だよ。 き り し ま ゆ う ま」 そんな事を言われても思い出せないものは思い出せない。 「きりしま ゆうま、って言われてもなあ」 悠真は呆れたというように眉を下げていた。 「南山稲井小学校だよ! 南山小だ! 覚えてないか?」 「えーっと」思い出せない。 おかしい。ここまでくれば大抵思い出すのだが。 悠真は驚いたように声をあげた。 「記憶喪失?」 「そんなわけあるか!」   とそのやり取りで、かちりと光が灯った気がして、僕は「思い出した」と声を出した。 霧島 悠真。確か、小学校の高学年の時、そこの小学校に転校して友達になった奴だった。 「ははは、お前そのツッコミで思い出したのかよ! あり得ねー」 悠真は腹を押さえて大笑いした。こいつは昔から笑い上戸だった。 つまり、どんな事でもよく笑うのである。
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