ある転校生

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話の内容はほぼ僕の愚痴だった。 例えば、なぜこの高校はこんなに偏差値が高いのか。 僕はこの学校で頭が全くよくない。 入った理由は姉がいて、勉強を教えてもらえるから便利だ――という訳ではない。 家から一番近く、入れるからだ。 いつ転校するかさえ分からないのだから。できるだけ近くがいい。 両親などについてもだった。 家に帰らないくせに、引っ越しだけは何回も、何回も、しているという事。 引っ越ししたくないなら、着いて来なければいいという始末だった。 一度だけ、引っ越しに反対して家出した事があった。 その時は姉に捕まった。 あの時は夜で、暗い中見つかるとは考えてなかった。
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