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そんな愚痴を彼女にぺらぺらと話していた。
彼女の顔は嫌そうな表情を形どっていなかった。
それよりも、楽しんでいるようにさえ見えた。
しかし、たまに、はっと気づいたように目をより大きく開けたかと思うと、目線を下に向けて、何かを考えるような難しい顔をするのである。
そんな時は、もっと面白い話題に変えて彼女の機嫌を損なわないようにする。
すると、彼女は頬を緩めて、僕はほっと胸をなで下ろした。
パコンッ
軽い音がして僕の頭に重い衝撃が走り、頭を抱えた。
何事かと顔をあげるとそこには姉が立っていた。
手には、丸めて筒状になっている教科書があった。
姉の顔は、目を細め口は半円を描き、眉を吊り上げて笑っていた。
長年の経験から言うと姉は怒りを押し殺していた。
何かの拍子で爆発するだろう。
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