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「君、どうしたの?」
泣いている女の子を放っておく事も出来ない為、とりあえず声を掛けてみた。
だが彼女は反応せず、腕に顔を埋めて泣いたままだ。
「俺、月影光輝っていうんだ。君は?」
ここで初めて、女の子が俺の方に視線を向けた。そして微かに唇を動かした。
「………ラフィー…です」
「ん…ラフィーか、いい名前だな」
俺はそう言ってラフィーの頭を撫でる。ラフィーは驚いたように、俺を見ていた。
「貴方は…私が恐くないんですか?」
「なんでさ?」
「だって…私は堕天使ですよ」
ラフィーは俯き、悲しそうに言う。
「この翼が、堕天使の証なんです…」
ラフィーはそう言って、自分の翼を広げる。白と黒の羽が空中に舞った。
「ふーん、俺は綺麗だと思うぜ。その翼」
嘘ではない。…いや、ちょっと違うかもしれない。確かに翼も綺麗だが、本当に綺麗だったのは白と黒の羽が舞う中に佇むラフィーの姿だった。
ラフィーは唖然としていたが、突然クスクスと笑いだした。
「変な人ですね。そんなこと言ってくれたの、貴方が初めてです…」
それから俺達は適当な雑談をして笑い合った。
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