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「そんなことはあり得ない、そう思いますよね?でも、不思議なんですよ。私、前みたいにピアノも弾けなくなって、簡単なはずのレポートも、マキちゃんみたいに居残りするようになっちゃって」
がくがくと、真理子の手が震える。
『ごめんね、ごめんね、マリちゃん、でもやっぱり、私醍醐君が好きなの』
がくがく、がくがくと、手が震える。
『え、盗んだ?待って、醍醐君のことじゃなくて?ねぇ、いったい何のこと?』
がくがくと、がくがくと、がくがくと
『才能?何それ、私頑張ったのよ。それだけよ。マリちゃんは事故で体がなまってるだけ、すぐに戻るわ、勉強だって…』
その震える手で、
『やめて、何するの、マリちゃん!!!』
夜の闇をヘッドライトが切り裂いて、
ブレーキの音が耳に響いた。
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