幕間…水無月の石

3/4

2816人が本棚に入れています
本棚に追加
/583ページ
しかり、なぜなら彼はこの店の主、すなわち王であれば、彼の行動は全て当然となる。  きゅっ、きゅっ、絶妙な力加減で指輪を磨く。  金は柔らかく銀は傷つきやすい。純度が高ければ高いほど脆く美しい。  まったくもって、可哀想なことに。  ランプの明かりにかざすと、輝石を頂く台座がきらりと光った。 「それを欲しがる人間の気が知れん」  低い声がした。 店主は嗤う。 「それを受け取る人間の気も知れん」  低い声は続けた。 店主はますます嗤う。  その手の布は手放さぬままで。 「なぜ」  嗤ったまま尋ねた。
/583ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2816人が本棚に入れています
本棚に追加