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大槻優喜が深夜にもかかわらず店に飛び込んできても、店主は眉一つ動かさなかった。
蛍光灯の明かりに慣れた人間が大抵そうであるように、目が慣れるには時間がかかる。だから立ち止まる。
彼がランプのほの暗い明りに慣れるのを見計らって店主は声をかけた。
「いらっしゃいませ」
「!!」
人がいるとは思わなかった、そう言わんばかりの優喜の態度にも、店主は静かに椅子から立ち上がりお茶の支度をする。
「どうぞ、おかけください」
「俺?いや、でも」
「今お茶を入れますから、どうぞお掛けになってお待ちください」
店主はにこやかにヴィクトリア調のソファを示し、奥へ行ってしまった。
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