~始まりの日~

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『とにかく、そのままの格好で良いから早くリビングにきてね』 ヤヨイと言う名の黒髪の少女はダイキに笑い掛けると彼の部屋を後にした。残された彼は数秒間程、ぼんやりとしていたがしばらくすると洗面所に向かう。そして、ひんやり冷えた水で顔を洗う。あまりの冷たさに顔が引き締まるような感覚になる。 『くぅ~、冷た…さてと、眠気も覚めた事だしリビングに向かうとするか』 黒髪の少年は、もう一度冷水で顔を洗う。彼の名前は音無 大毅…ここ魔法界に住んでいる十七歳の少年である。彼は魔法学園に通う学生だが現在は春休みの為、自宅に帰る事が許可されている。 実は彼は、もともとこの魔法界の住人ではない…もともとは、もう一つの世界、地球に住んでいたがある事件を境にこちら側の世界に住んでいる。 そんな彼も当初はこちらの生活に慣れなかったが、今ではすっかり馴染んでいる。 そして完全に眠気が覚めたダイキは、ヤヨイが待っているリビングのドアを開いた。
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