媚薬稲妻

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「ほら、もっと喘げよ」 どうせ雨と雷に掻き消されるわ。 貴方のその攻め立てるような言い方、腰、すごく好き。 「ほら、」 せかす せかされる。 喘ぐより叫ぶ。 無理矢理にでも。 前はもっと夢中になれた。 頭は真っ白になれたし、ただ快感だけがそこにあったもの。 今は、駄目。 あの汚い女がちらつくわ。 「嘘でもいいから言って」 今までは、我慢できてたの。こうしてくれて、忘れられたから、貴方のことさえ。 今はダメ。 心を求めてしまうもの。 「愛してるよ」 その瞬間、昇りつめる。 貴方のその声はまるで媚薬ね。 雷、と女。 壊して 貴方の、手で。 貴方のものなんだから あの、汚い女を抱いても、 私は、貴方のものよ。 稲妻が見えた。
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