あまい

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綺麗、 貴方の囁きがきこえて、シャワーをとめ、濡れた髪をかきあげる。 「やめてそういうの」 「だって綺麗だもん」 満足そうにあなたは笑い、あたしの首筋を指でなぞった。少しのびた爪がやんわりと食い込む感覚。 「やめてってば」 あたしは湯舟に顎まで身体をつけた。 まったく、と今度は呆れてる。 あの女にも言ってるのかしらね、綺麗だなんて。もしそうなら要らない。そんな甘ったるいだけのことば。毎日おはようから始まる中身のないメール。初めは、羨ましく思ったけど、要らない。今は。
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