*執事と、隠し事*

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          「…‥おい、 そういえば…キョウは何処へ行った?」     食堂で朝食のサラダを口に運びながら、カノン様は葵兎に問い掛けた。     「キョウ? あぁ…アイツなら、早くから起きてきて…‥ほたると一緒に庭園で花壇の手入れしてるよ」     「花壇の手入れ‥…?」     「カノン様、 以前に仰っていたじゃないですか。 新しく、花を植えたいと。 仰せつかった通り、リコリスを取り寄せて…今朝届いたんですよ」     「…あぁ、そういえば そんなコトも言っていたような気がするな」     「ま、そろそろ戻って来るんじゃねぇか? ほたるも腹が減る頃だろうし…」     「…‥おや、 噂をすれば何とやら‥ってやつですねぇ。 戻ってきたようですよ」     そう言うが早いか、 ほたるが駆け込んで来るのが早いか…‥。   大きな音をたてて、 勢い良く食堂の扉が開いた。     「カノンっ… 聞いて、聞いて…‥っ キョウが‥すごく、木の枝を整えるの上手なんだよ」     にこにことしながら、 ほたるはカノン様に熱弁する。   暫くしてから、 キョウも食堂にやってきた。     「オイ、ほたる。 タオル…落としてっぞ」     途中で、肩に掛けていたタオルが床に落ちたのであろう…。 キョウは、持っていたタオルをほたるの頭から、ふわりと掛けた。     「ふわっ… 何するの、キョウ… 急に視界が真っ暗になってビックリした」     頭から掛けられたタオルを、ほたるは取る。   むぅ…‥、と頬を膨らませてキョウを見上げていた。       .
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